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教育費にNISAは使っていい?
長期運用と元本割れへの備え方
教育費の準備にNISAを使っても問題ありません。
特に、0歳から大学進学までのように長い準備期間を取れる場合は、運用によって毎月の積立負担を減らせる可能性があります。
ただし、教育費は必要になる時期を簡単には延期できません。大学進学直前まで全額を運用し続けるのではなく、使う時期が近づいたら、徐々に現金へ移していくことが重要です。
NISAは「投資の利益が非課税になる制度」
NISAは、預金や投資信託そのものの名前ではありません。
通常は投資による利益や配当などに税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益は非課税になります。
現在のNISAには、年間120万円まで使える「つみたて投資枠」と、年間240万円まで使える「成長投資枠」があります。
2つの枠は併用でき、年間合計360万円まで投資できます。非課税で保有できる総額は最大1,800万円です。
ただし、NISAを使っても元本は保証されません。何を購入するかによって、値動きやリスクは変わります。
NISAを使うメリットは、毎月の負担を減らせる可能性があること
0歳から18年間で、大学費用として1,000万円を準備する場合を考えます。
利息のない現金で積み立てる場合、必要な金額は毎月約46,300円です。
一方、18年間を通して年4%で運用できたと仮定すると、毎月の積立額は約31,700円になります。毎月の差は約14,600円です。

この試算は、0歳から18年間、毎月末に同じ金額を積み立て、年4%で増え続けたとする単純な比較です。
実際の価格は上下します。毎年4%ずつ安定して増えるわけではなく、18歳の時点で1,000万円に届かないこともあります。
また、後半で現金の比率を高めると、その分だけ期待できる運用益は減ります。現金化まで含めた実際の計画では、月31,700円より多く積み立てる必要があります。
長期・積立・分散で、値動きと付き合う
投資のリスクをゼロにすることはできません。
そのなかで値動きの影響を抑える基本的な考え方が、長期・積立・分散です。
- 長期:長い期間運用し、複利の効果を利用する
- 積立:購入時期を分け、高値のときだけ買うことを避ける
- 分散:投資先の地域や資産を分け、値動きの偏りを抑える
金融庁も、投資には元本割れのおそれがあるとしたうえで、値動きと付き合いながら資産形成する方法として、長期・積立・分散を挙げています。
ただし、長期・積立・分散を行えば必ず利益が出る、という意味ではありません。
全世界株式でも、過去には約58%下落している
幅広く分散された全世界株式でも、大きく値下がりすることがあります。
全世界株式の代表的な指数の一つであるMSCI ACWIは、先進国と新興国の大型・中型株で構成され、世界の投資可能な株式市場のおよそ85%をカバーしています。
この指数は、2007年10月31日から2009年3月9日にかけて、最大58.38%下落しました。
仮に1,000万円を保有していた場合、同じ割合で下落すると約416万円まで減る計算です。

これは過去の特定期間を使った例です。将来も同じ規模、同じ期間で下落するとは限りません。
それでも、幅広く分散していれば大幅な下落が起きない、とは言えないことが分かります。
怖いのは、使う直前に大きく下がること
運用を始めて間もない時期に価格が下がっても、大学進学まで長い時間が残っていれば、その後の回復を待つ余地があります。
問題は、子どもが17歳のときなど、大学費用を使う直前に大きく下落することです。
18歳で入学金や授業料の支払いが始まれば、相場が戻るまで何年も待つことは難しくなります。
ニッセイ基礎研究所は、2007年10月末の値を100として、MSCI ACWIを含む株式指数の推移を比較しています。その資料では、リーマン・ショック後に下落した各指数のうち、MSCIエマージング・マーケッツを除く指数が、2013年春ごろから続々と2007年10月末の水準を回復したとされています。MSCI ACWIも比較対象に含まれているため、回復までの期間はおよそ5年半と見ることができます。
※「およそ5年半」は、2007年10月末から2013年春ごろまでの期間を示した概算です。すべての下落が同じ期間で回復するわけではありません。

大学進学に向けて、徐々に現金の比率を高める
大学費用の全額を、18歳になる直前にまとめて売却する必要はありません。
大学進学までの残り期間を見ながら、運用中の資産を少しずつ売却したり、新しく積み立てるお金を現金へ回したりして、現金の比率を高めていく方法があります。
この記事では、中学校へ進学する12歳ごろを一つの目安に、現金化を考え始める例を示します。
小学生までは運用を中心にし、中学校へ進学した後は、大学で先に使う予定の分から少しずつ現金へ移していくイメージです。
12歳になったら必ず現金化を始めなければならない、という意味ではありません。必要な金額、進学先、家計の余裕、現金で別に準備している金額、値下がりをどこまで受け入れられるかによって、現金化を始める時期や割合は変わります。

図で示した時期や割合は、一つの例です。
現金の比率を高めれば値下がりの影響を抑えられる一方、期待できる運用益も少なくなります。
最初に示した月31,700円は、18年間を通して年4%で運用する仮定です。現金化を進めながら1,000万円を準備するには、これより多めに積み立てる必要があります。
教育費にNISAを使えるかを判断するためのチェックリスト
ここまで見てきたとおり、教育費にNISAを使うかどうかは、「利益が非課税になるから」だけでは決められません。
大きな値下がりが起きても積立を続けられるか、目標額に届かなかった場合を受け入れられるかまで含めて考える必要があります。
次の3点を確認してみてください。
いつまでに、いくら準備したいかが決まっているか
目標額と準備期間が分からなければ、毎月いくら積み立てるかも決められません。まずは、大学進学までに必要になりそうな金額と、現金で準備する部分を整理します。
大きな値下がりが起きても、積立を続けられるか
全世界株式でも、過去には半分以上値下がりしたことがあります。資産額が大きく減ったときに、怖くなって売却してしまう可能性があるなら、運用する金額を減らすなどの対策が必要です。
目標額に届かない可能性を受け入れられるか
NISAで運用しても、大学進学時に予定どおりの金額になる保証はありません。目標額へ届かなかった場合に、家計から補えるか、準備額を増やせるか、進路の選択へどこまで影響するかを考えておく必要があります。
まとめ
- NISAは、長期間準備できる大学費用に使える
- 現金だけで準備するより、毎月の積立負担を減らせる可能性がある
- 元本割れに備え、中学校へ進学する12歳ごろを一つの目安に、徐々に現金の比率を高める
大きな値下がりや目標未達の可能性を理解し、それでも積立を続けられるかが、教育費にNISAを使う判断基準になります。
わが家の教育費がどれくらい必要か、試算してみる
この記事では、大学進学時に1,000万円を準備する仮定で比較しました。実際に必要な教育費は、進路、学校外活動費、子どもの人数などによって変わります。
まずは、わが家の場合にどのくらい必要になるかを確認したうえで、現金と運用をどう組み合わせるか考えてみてください。
わが家の教育費を試算する出典
確認日:2026年8月1日

