学資保険
- ・18歳前後に100万円
- ・22歳に100万円
- ・利用できる総額は200万円
約9分
教育費の準備で、学資保険を優先して選ぶ必要はありません。
長期の値動きを受け入れ、自分で積立を管理できるなら、教育費の積立はNISA、親の万一への備えは掛け捨て生命保険と分ける方が、柔軟に設計できます。
ただし、NISAの運用結果は確定していません。将来の受取額を決めておきたい人や、自分で積立を続けるのが難しい人には、学資保険も選択肢になります。
学資保険は、毎月保険料を払い、子どもの進学時期などに祝金や満期保険金を受け取る商品です。
今回は、フコク生命「みらいのつばさ」J型のモデルプランを使います。
親が30歳、子どもが0歳で加入した場合、月8,439円を17年間支払います。18歳前後に祝金100万円、22歳に満期保険金100万円を受け取り、合計は200万円です。
契約者である親が死亡した場合や、所定の高度障害状態になった場合は、以後の保険料が免除されます。保険料を払わなくても、予定されていたお金は受け取れます。

このモデルでは、17年間で1,721,556円を支払い、合計200万円を受け取ります。増える金額は約27.8万円です。
200万円 ÷ 約172.2万円 = 返戻率116.1%
ただし、返戻率116.1%は、毎年16.1%ずつ増えるという意味ではありません。
月々の支払い時期と、18歳・22歳の受取時期を反映して年率に換算すると、記事上の試算では約1.3%です。学資保険は、大きく増やすための商品というより、将来の受取額を決めながら、少し増やして受け取る商品です。

学資保険とNISAを比べるため、毎月口座から出ていく金額をそろえます。
学資保険側は、月8,439円をすべて学資保険へ支払います。
NISA側は、月486円を掛け捨て生命保険、残りの月7,953円をNISAの積立に回します。どちらも17年間の支出総額は1,721,556円です。
掛け捨て生命保険には、SBI生命「クリック定期!Neo」を使います。以後は「定期保険」と表記します。
30歳男性、保険金額300万円、保険期間20年、特約なしの場合、月額保険料は486円です。
この商品では17年契約を選べません。そのため、20年契約を結び、学資保険の払込終了に合わせて17年後に解約する前提にします。解約後は保障が終了し、解約返戻金もありません。
ここでは税控除後の実質負担ではなく、毎月支払う額面金額をそろえています。生命保険料控除は、主な比較の後で別に反映します。

親に万一がなく、予定どおり積み立てられた場合を比較します。
月7,953円を17年間積み立て、年4%で運用できたと仮定します。
同じ月額でも、年4%で運用できた場合は、NISA+定期保険の方が約63.2万円多くなります。

この年4%は、比較のための仮定です。NISAは運用益が非課税になりますが、元本や利回りが保証される制度ではありません。
大学進学直前に相場が下がり、予定していた金額に届かないこともあります。確実に使う予定のお金は、必要な時期が近づいたら、少しずつ預貯金へ移す必要があります。
学資保険の保険料は、一般生命保険料控除の対象です。
ただし、比較対象の定期保険も同じ控除の対象になります。学資保険だけに税制上のメリットがあるわけではありません。
今回は、次の条件で税負担の軽減額を試算します。
給与収入が500万円なら、必ず所得税率が10%になるわけではありません。実際の税率は、社会保険料や各種控除によって変わります。
ここでは比較を一つに固定するため、所得税率10%と仮定します。
学資保険側の税負担軽減は、定期保険側より約9.9万円多くなります。
この差を家計上の効果として差し引くと、約63.2万円あった差は約53.3万円まで縮まります。
約63.2万円 − 約9.9万円 = 約53.3万円

約9.9万円は、学資保険そのものの控除額ではありません。学資保険と定期保険の税負担軽減額の差です。実際の金額は、所得、家族構成、他の保険契約、将来の税制によって変わります。
学資保険と定期保険では、親に万一があったときのお金の受け取り方が異なります。
学資保険では、以後の保険料が免除されます。
ただし、死亡直後に200万円をまとめて受け取るわけではありません。18歳前後に100万円、22歳に100万円という受取予定が維持されます。
NISA+定期保険では、定期保険から300万円を親の死亡後に受け取ります。それまで積み立てたNISA残高も残ります。
今回の比較では、親の死亡後は新しい積立を停止する前提です。

今回の300万円は、比較用に設定した金額です。実際に必要な保障額は、現在の貯蓄、配偶者の収入、子どもの人数、公的保障などによって変わります。
金額以外で重要なのは、次の3点です。
学資保険:契約時に受取額がほぼ決まる
NISA+定期保険:運用結果によって変わる
学資保険:積立額や受取時期を変更しにくい
NISA+定期保険:積立額、売却時期、保障額を変更しやすい
学資保険:一つの商品で管理できる
NISA+定期保険:運用、現金化、保障を別々に管理する
学資保険は、自由度を下げる代わりに、受取額の確実性と積立の続けやすさを得る商品です。
NISA+定期保険は、自分で管理する手間と価格変動を引き受ける代わりに、積立額や保障額を調整しやすくなります。
これらに当てはまらず、長期の値動きを受け入れながら自分で管理できるなら、NISAと定期保険を分ける方が柔軟です。
教育費は、学資保険かNISAのどちらか一つで準備する必要はありません。
使う時期が近いお金は預貯金、長期間使わないお金はNISA、親の万一への備えは掛け捨て生命保険と分け、受取額の確実性を重視する部分だけ学資保険を使う方法もあります。

今回の試算では、同じ月額を支払った場合、生命保険料控除を考慮してもNISA+定期保険の方が多くなりました。ただし、NISAの運用結果は確定していません。
学資保険で得られるのは、高い収益というより、受取額の確実性と積立を続けやすい仕組みです。
まずは、教育費の積立と親の万一への備えを分けて設計できないかを考える。その管理が難しい場合や、受取額の確実性を優先する場合に、学資保険を検討するのが分かりやすいでしょう。
今回は、月8,439円という一つのモデルで比較しました。実際に学資保険へ入るか、NISAで準備するかを決めるには、まず、わが家でいつ・いくら必要になるかを確認する必要があります。
必要額が分かれば、預貯金、NISA、保険へどのくらい振り分けるかを考えやすくなります。
わが家の教育費と毎月額を試算する確認日:2026年8月2日